The Lemon Twigs「My Golden Years」
アメリカのダダリオ兄弟によるロックバンド、ザ・レモン・ツイッグスが2024年にリリースしたシングル曲「My Golden Years」。
X(旧ツイッター)に投稿するグラビア系女子が、コスプレや決めポーズのグラビア画像に添える定番の文句「こういうの好きなんでしょ?」
ダダリオ兄弟も、いつもこう言って、キラキラのポップソングを放ってくるから、たまらん(笑)
ビーチボーイズのようなハーモニーや、ザ・バーズのような12弦ギターの響きに、そりゃ好きになるわという感じですが、MVでギターを弾く姿が、ビートルズのジョン・レノンを真似たガニ股というのにも、思わず顔がニヤけてしまいます。
曲調も爽やかで、新年のスタートにふさわしい曲として、おすすめです。
Tex Crick「Easy Keepers」
オーストラリアのキーボーディスト・シンガーソングライター、テックス・クリックが2023年にリリースしたセカンドアルバム「Sweet Dreamin’」の収録曲。
テックス・クリックは、イギー・ポップや、マック・デマルコなど、有名アーティストとも共演し、オルタナ界隈ではカルト的な人気を誇るキーボーディストです。
派手さはありませんが、味わい深い、温かみのある楽曲は、ピーター・ゴールウェイのフィフス・アヴェニュー・バンドや、70年代のシンガーソングライターを思わせます。
寒い季節に、暖かい部屋で、コーヒーを片手に、リラックスタイムのBGMとしても、おすすめのアルバムです。
Ethan P. Flynn「Abandon All Hope」
ロンドンを拠点に活動するシンガー・ソングライター、イーサン・P・フリンが、2023年にリリースしたデビュー・アルバム「Abandon All Hope」の収録曲。
イギリスの名門ギルドホール音楽演劇学校を18歳で中退した、イーサン・P・フリンは、これまで、デヴィッド・バーン、FKAツイッグス、ジョックストラップ、ヴィーガンといった有名アーティストとのコラボレートで話題を集めてきました。
基本的にはインディーロックといった感じのサウンドで、しゃがれた歌声は、ちょっとベックを思わせます。
MVの曲は、絶望がテーマらしいのですが、ポップなメロディーの間に潜む、狂気や不気味さが、時折、顔をのぞかせる、ちょっとひねくれたアレンジが面白くて、おすすめです。
Cupid’s Carnival「You're so Cool」
イギリスのロックバンド、キューピッズ・カーニヴァルが、2023年にリリースした3rdアルバム「Rainbow Child」の収録曲。
「ビートルズに、こんな曲あったっけ?」
もしかしたら、こんな風に勘違いしてしまう人もいそうなほど、ビートルズ風の曲(笑)
奇しくも、先日、ビートルズ最後の新曲「Now and Then」がリリースされたばかりということで、ビートルズロスの症状緩和にも効能がありそうです。
メンバーには、ビートルズを題材にした2019年公開の映画「イエスタデイ」のサウンドトラックで、ビートルズ・ナンバーをプレイしていた、元ジェスロ・タルのジョナソン・ノイス(B)や、元プロコル・ハルムで「青い影」の共作者、マシュー・フィッシャー(B3 Organ)も含まれているそう。
私もビートルズが大好きですが、あまりのビートルズ感に、前から気になってた、あのちゃん似の女の子が、ある日突然、自分のことを「ボク」と言い出して、少し引いちゃうような、あざとさを感じてしまうのも確かですが(笑)
そこのところを割り切ってしまえば、ビートルズ風味を存分に味わえるアルバムとして「Rainbow Child」は、かなりおすすめです。
The Beatles「Now And Then」
イギリスの伝説的4人組ロックバンド、ザ・ビートルズが2023年にリリースした最後の新曲「Now And Then」。
ビートルズは1971年に既に解散していますが、主要メンバーである故ジョン・レノンが残したデモ音源に、残りのメンバーが演奏を加えて完成させた曲です。
デモ音源の音質が悪く、これまで修復困難とされていましたが、人工知能(AI)の技術が発展したことで、デモ音源からジョンのボーカルを、クリアな状態で取り出せるようになったとのこと。
これまでも録音技術の発展と共に、常に革新的な楽曲を製作してきた彼等ですが、「Now And Then」も、AI時代へのターニングポイントとなる重要な作品となるのかもしれません。
YouTubeなどで聴ける海賊盤のデモ音源から、カットされたパートがあることについて、SNSでは「ジョンの意向を汲んでいない」と、否定的な意見を述べている人もいるようです。
個人的には、デモ音源は明らかに未完成感があり、ジョンの歌唱にも迷いがあるように感じるため、批判を恐れずに楽曲構成を変更したのは、ポールの英断だったと考えています。(その方が、サビのメロディーが効果的に機能するはず)
いずれにせよ、これまでもジョンと数々の名曲を作り上げ、楽曲製作においては、きっと誰よりも彼を理解している、ポールがアレンジしたのですから、海賊盤と比較するのはナンセンスと言えるでしょう。
私はビートルズについて、単に4人のグループというよりも、ビートルズという「ひとつのまとまった存在」として捉えている気がします。
その存在を擬人化した「ビートルズ君」は、頭を食べ尽くされたアンパンマンのように「僕が君にあげられるものは、全部あげたから、これが最後だよ」と言っている気がして、少し感傷的にもなりました。
そう考えると、Now And Thenの歌詞は、「ビートルズ君」が私に語りかけているようにも聞こえてきます。
Now and then I miss you
ときどき君が恋しいOh now and then
いまも、そしてこれからもI want you to be there for me
いつもそばにいて欲しいAlways to return to me
いつも僕のもとに帰ってきてね
ビートルズ最後の新曲「Now And Then」は、私が好きだったのは、ジョンでもポールでも、ジョージでもリンゴでもなく、やっぱり「ビートルズ君」だったと、あらためて気づかせてくれた、ビートルズの最後を飾る記念すべき一曲として、おすすめです。